パパ活をする夫と離婚は可能? 慰謝料の請求の可否と離婚のまで流れ
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令和元年の香川県高松市の婚姻件数は2187件で、離婚件数は809件でした。
「パパ活」という言葉を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。パパ活とは、若い女性が男性と食事やデートなどを行い、その対価として男性がお金を支払うといった行為の名称とされています。
ご自身の夫がパパ活をしていると判明した場合、嫌悪感から離婚したいと考えている方もいらっしゃるかもしれません。パパ活をした夫と離婚する手続きは、夫が離婚に合意しているか、拒否しているかによって異なります。夫が離婚を拒否している場合には、不貞行為の事実を裁判で立証する必要があるなど、煩雑な対応が必要となる点に注意が必要です。
今回は、パパ活をした夫に対する離婚請求・慰謝料請求の可否、実際にパパ活をした夫と離婚するための対応・手続きなどを、ベリーベスト法律事務所 高松オフィスの弁護士が解説します。
(出典:「令和2年版高松市統計年報」(高松市))
1、パパ活を理由に夫と離婚できる?
パパ活をした夫と離婚できるかどうかは、夫が離婚を受け入れるかどうか、また、パパ活に伴ってどのような行為があったかに左右されます。
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(1)夫婦の合意があれば離婚可能
パパ活をした夫が離婚を受け入れている場合、協議離婚または調停離婚を成立させることができます。
婚姻は、両性の合意に基づいて成立すること(日本国憲法第24条第1項)の裏返しで、離婚についても、夫婦の合意があれば認めるべきとされているからです。 -
(2)夫が離婚を拒否する場合は、法定離婚事由が必要
パパ活をした夫が離婚を拒否する場合、離婚するには、離婚裁判において、法定離婚事由(民法第770条第1項各号)を立証しなければなりません。
法定離婚事由とは、以下の5つがあげられます。
- ① 不貞行為
- ② 悪意の遺棄
- ③ 3年以上の生死不明
- ④ 強度の精神病にかかり、回復の見込みがないこと
- ⑤ その他婚姻を継続し難い重大な事由
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(3)パパ活は法定離婚事由に当たるのか?
夫がパパ活をしたケースでは、法定離婚事由のうち①不貞行為、②悪意の遺棄、⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由の存否が問題となります。
たとえば、パパ活に伴って以下のような行為があった場合、法定離婚事由に該当する可能性が高いといえます。<法定離婚事由が認められるパパ活の例>
① 不貞行為
- 夫がパパ活相手の女性と性交渉を行った場合(肉体関係があった場合)
② 悪意の遺棄
- 夫がパパ活相手の女性にお金を使い込みすぎて、生活費を全く支払わなくなった場合
- 夫がパパ活相手の女性と同棲を始め、勝手に別居した場合
⑤ その他婚姻を継続し難い重大な事由
- パパ活を巡って夫婦間で口論になった際、夫が妻に対して暴力を振るったり、ひどい侮辱を行ったりした場合
これに対して、パパ活相手の女性と会う頻度が低く、食事などのみで性交渉もなく、家庭での振る舞いにも特に大きな問題がないような場合には、法定離婚事由は認められない可能性が高いと考えられます。
2、パパ活をした夫に慰謝料は請求できる?
パパ活をした夫に対して慰謝料を請求できるかどうかについても、夫の行為が法定離婚事由に該当するかどうかによって結論が左右されます。
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(1)パパ活について慰謝料を請求できるケース・できないケース
パパ活に伴う夫の行為が法定離婚事由に該当する場合、妻は夫に対して慰謝料を請求できる可能性が高いです。
たとえば、夫がパパ活相手の女性と性交渉をした場合や、パパ活が原因で生活費を支払わなくなった・DVやモラハラ行為をするようになったといった事情があれば、慰謝料を請求できる可能性があります。
これに対して、夫がパパ活相手の女性と会ってはいるものの、性交渉はなく、家庭での振る舞いにも問題がない場合には、妻が夫に対して慰謝料を請求できる可能性は低いでしょう。 -
(2)パパ活に対する慰謝料の増額事由
パパ活をした夫に対して請求できる慰謝料の金額は、ケースバイケースではあるものの、離婚する場合で100万円~300万円程度、離婚しない場合で50万円~100万円程度が標準的です。
具体的な慰謝料の金額は、パパ活の内容や家庭での振る舞いに関する事情などを総合的に考慮して決定されます。
パパ活の慰謝料の増額事由として考慮される主な事情は、以下のとおりです。<慰謝料の増額事由>
- パパ活相手の女性との性交渉が一回限りでなく、頻繁に行われていた
- パパ活相手の女性が妊娠した
- 夫婦の間に未成熟の子どもがいる
- 夫が生活費を一切支払わない状態が長期間続いた
- 程度のひどいDVやモラハラが複数回行われた など
3、パパ活をした夫との離婚を決意したらするべきこと
パパ活をした夫と離婚することを決めたら、離婚に向けた準備を始めましょう。
生活状況やご自身の要望などに応じて、以下の準備を計画的に行ってください。
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(1)慰謝料を請求する場合は、不貞行為の証拠を探す
夫がパパ活相手の女性と性交渉(=不貞行為)をしたことが疑われる場合、不貞行為の証拠を確保することが大切です。
<不貞行為の証拠例>
- 性交渉の現場を撮影した写真、動画
- ラブホテルや自宅に出入りする現場を撮影した写真、動画
- 性交渉があったことをうかがわせるメッセージのやり取り、録音データ
- ラブホテルの領収証 など
後に夫が離婚や慰謝料の支払いを拒否した場合、不貞行為の証拠があれば、離婚請求や慰謝料請求を有利に進められます。
必要に応じて弁護士のサポートを受けながら、できる限り多くの不貞行為の証拠を調査・収集することが重要です。 -
(2)離婚後の生活のめどを立てる
離婚後は基本的に、ご自身の収入だけで生活していかなければなりません。
子どもの親権者となる場合には、夫から養育費を受け取る権利がありますが、支払いが滞ることも考え、念のため生計のめどを立てたほうがよいでしょう。 -
(3)求める離婚条件を検討する
夫と離婚するに当たっては、以下に挙げる離婚条件を取り決める必要があります。
各離婚条件について、ご自身の求める水準や優先順位などを明確化しておくことが、よい条件で離婚を成立させるためのポイントになります。
① 財産分与
婚姻中に取得した夫婦の共有財産の分け方を取り決めます。
相手がどの程度の財産を持っているのかを把握したうえで、どの財産の分与を請求するのか検討しておきましょう。
② 慰謝料
慰謝料を請求する場合は、慰謝料の金額について取り決めます。
過去の裁判例などを参考にして、適正な慰謝料の金額を検討しなければなりません。
また、夫だけに請求するのか、パパ活相手(不倫相手)にも請求するのかも検討します。
③ 婚姻費用
離婚前に夫と別居する場合は、別居期間中の生活費の分担を取り決めます。
夫婦の収入バランス・子の人数や年齢に応じて、婚姻費用算定表を参考に金額を決定するのが一般的です。
(参考:「養育費・婚姻費用算定表」(裁判所))
④ 親権
子どもがいる場合、夫婦のどちらが親権を得るかを取り決めます。
親権者は、子の利益をもっとも優先して考慮したうえで決めなければなりません(民法第766条第1項)。
⑤ 養育費
子どもの養育費の金額や支払い方法を取り決めます。
夫婦の収入バランス・子の人数や年齢に応じて、養育費算定表を参考に金額を決定するのが一般的です。
⑥ 面会交流
親権者でない親が、離婚後に子どもと会う頻度や場所、方法などを取り決めます。
面会交流についても、子どもの利益をもっとも優先し考慮したうえで決めることが求められます(民法第766条第1項)。
4、離婚手続きの種類・内容
パパ活をした夫と離婚したいと決意をした場合、まずは夫へ離婚を切り出しましょう。
この際に、夫が離婚に応じるか応じないかによって、離婚手続きの種類が異なります。
離婚手続きには、主に以下の4種類があります。
夫婦間で直接離婚条件を話し合い、合意に基づいて離婚を成立させる手続きです。
弁護士を代理人として協議を行うことも考えられます。
② 調停離婚
家庭裁判所の離婚調停を通じて夫婦が話し合い、合意に基づいて離婚を成立させる手続きです。
協議離婚の合意に至らない場合、次のステップとして離婚調停を申し立てます。
③ 審判離婚
調停離婚が成立しなかったものの、細かい離婚条件について合意が得られなかったにとどまる場合に、家庭裁判所が審判によって離婚を成立させる手続きです。
④ 裁判離婚
裁判所が判決によって、強制的に離婚を成立させる手続きです。
調停離婚・審判離婚が成立せず、夫婦のどちらかが離婚裁判(離婚訴訟)を提起した場合、裁判所が裁判離婚の可否を判断します。
いずれの手続きによる場合でも、スムーズかつ希望する条件で離婚を成立させるためには、弁護士を代理人として対応するのがおすすめです。
パパ活をした夫と離婚したい場合は、お早めに弁護士までご相談ください。
お問い合わせください。
5、まとめ
夫のパパ活が判明した場合、夫婦の間で合意すれば離婚することは可能です。
また、パパ活に伴って不貞行為・悪意の遺棄・DV・モラハラなどが行われていれば、夫に対して離婚や慰謝料を請求できる可能性があります。
パパ活をした夫とスムーズによい条件で離婚したい場合には、弁護士へのご相談をおすすめいたします。
ベリーベスト法律事務所は、離婚に関する手続きを全面的にサポートし、お客さまのストレスを軽減しながら、スムーズな離婚成立に向けて尽力いたします。
夫のパパ活によって夫婦関係が崩れ、夫に対する離婚請求や離婚慰謝料の請求をご検討中の方は、ベリーベスト法律事務所 高松オフィスにご相談ください。
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