姻族関係終了届で義実家と縁を切れる? 提出するデメリットとは
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- デメリット

令和3年における高松市の出生者数は3116人、死亡者数は4589人でした。
配偶者が死亡した後、義実家との縁を切りたいと希望される方は、「姻族関係終了届」を提出することを検討してください。姻族関係終了届を提出すれば義実家との親族関係が終了させられ、扶養義務などを免れることができます。
姻族関係終了届を提出することについては、法律上のデメリットはほとんどありません。ただし、特別寄与料を請求できなくなる点に留意する必要があるほか、子どもを含めた親族間の関係性には一定の配慮をすべきともいえます。
本コラムでは姻族関係終了届の概要や提出することのメリットとデメリット、相続への影響などを、ベリーベスト法律事務所 高松オフィスの弁護士が解説します。


1、姻族関係終了届とは?
「姻族関係終了届」とは、死亡した配偶者の親族との間の姻族関係を終了させるための書類です。
夫婦のうちいずれか一方が死亡すると婚姻関係は終了しますが、なにも手続きを取らなければ、死亡したほうの配偶者の義実家と生存したほうの配偶者の姻族関係(親族関係)は残ります。
しかし、生存したほうの配偶者が姻族関係終了届を役所に提出することで、義実家との間の姻族関係を終了させることができるのです(民法第728条第2項)。
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(1)姻族関係終了届の提出方法
姻族関係終了届は、以下のいずれかの市区町村役場に対して提出します。
- 届出人の本籍地
- 届出人の所在地
必要書類は、原則として、姻族関係終了届のみです。
ただし、本籍地ではない市区町村に対して提出する場合は、戸籍全部事項証明書の添付も必要となります。
姻族関係終了届の様式は届出先の市区町村役場で交付を受けられるほか、市区町村のウェブサイトでもダウンロードできる場合があります。 -
(2)姻族関係終了届を提出した場合の効果
姻族関係終了届を提出すると、配偶者の親族との間の姻族関係が終了します。
具体的には、以下のような法的効果が発生します。- ① 親族間の扶養義務(民法第877条第2項)が消滅する
- ② 親族ができる申立てが、互いにできなくなる
(例)成年後見・保佐・補助開始の申立て(民法第7条、第11条、第15条第1項)、親権者変更の申立て(民法第819条第6項)、親権喪失の審判申立て(民法第834条)など - ③ 療養看護等について、特別寄与料(民法第1050条第1項)を請求できなくなる
- ① 親族間の扶養義務(民法第877条第2項)が消滅する
2、姻族関係終了届を出すことのメリット・デメリット
姻族関係終了届を提出することの大きなメリットは、義実家に対する扶養義務を免れる点です。
また、「義実家との縁を切った」ことを法的に明確化できる点もメリットといえるでしょう。
一方で、基本的には、姻族関係終了届を提出することに法律上のデメリットはありません。
ただし、義実家との関係性が悪化する点などはデメリットといえます。
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(1)姻族関係終了届を出すことのメリット
姻族関係終了届を提出すれば、義実家に対する扶養義務を負うことがなくなります。
原則として義実家に対しては扶養義務を負いませんが、特別の事情がある場合には、家庭裁判所の審判によって義実家に対する扶養義務が生じることがあります(民法第877条第2項)。
もし、配偶者が亡くなったにもかかわらず義実家の扶養を続けなければならないとすれば、本人にとっては大きな負担となるでしょう。
したがって、すでに扶養義務を負っている場合や、将来的に義実家から扶養を請求される可能性がある場合には、姻族関係終了届を提出して懸念を断っておくことを検討してください。
また、姻族関係終了届の提出には、「義実家と縁を切った」ことを法的に明確化する意味もあります。
義実家に対して「今後は関わりを持たない」と明示することで、将来の干渉を避けやすくなる場合もあるでしょう。 -
(2)姻族関係終了届を出すことのデメリット
姻族関係終了届を提出することについて、法律上のデメリットはほとんどありません。
ただし、後述するように、特別寄与料を請求できなくなる点には注意が必要です。
また、姻族関係終了届によって「縁を切った」と示した場合、義実家から悪感情を持たれる可能性があります。
また、死亡した配偶者との間に子どもがいる場合は、自分の父親や母親と祖父母や親戚の仲が悪いことに悲しみやストレスを抱かれてしまうこともあるかもしれません。
また、義実家との関係を悪くしてしまうと、遺産相続において冷遇されてしまう可能性もあります。
姻族関係終了届を提出する際には、自分自身や子どもと義実家の関係性がどのように変化するかも十分に考慮したうえで、本当に提出すべきかどうかを慎重に検討することが大切です。
3、姻族関係終了届は相続に影響するのか?
姻族関係終了届を提出しても、多くの場合、遺産相続への影響はありません。
元配偶者が死亡した場合には、義実家の遺産を相続する権利はもともと存在しません。
一方で、死亡した配偶者との間にできた子どもには、姻族関係終了届の提出後も代襲相続によって義実家の遺産を相続する権利があります。
ただし、無償で義実家の介護などを行っていた場合は、姻族関係終了届の提出により、特別寄与料を請求できなくなる点に注意が必要です。
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(1)特別寄与料を請求できなくなる
配偶者の両親など義実家の人が亡くなった場合でも、養子縁組をしていない限り、自身に相続権はありません。
したがって、姻族関係終了届を提出したとしても、相続権への影響は生じません。
ただし、姻族関係終了届を提出して義実家の親族でなくなると、「特別寄与料」を請求できなくなってしまうことには注意してください。
特別寄与料とは、被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより、被相続人の財産の維持・増加に貢献した場合に、相続人に対して請求できる金銭です(民法第1050条第1項)。
特別寄与料を請求できるのは、被相続人の親族に限られます。
したがって、姻族関係終了届を提出して被相続人(配偶者の両親など)の親族でなくなった場合には、被相続人のために介護などをしていたとしても、特別寄与料を請求できなくなってしまうのです。 -
(2)子どもは義実家の遺産を相続できる|ただし相続トラブルのリスクに注意
配偶者がすでに亡くなっている場合、配偶者との間にできた子どもは、義両親の遺産の相続権を有します。
配偶者の死亡により、子どもが代襲相続人となるためです(民法第887条第2項)。
自身が姻族関係終了届を提出したとしても、代襲相続人である子どもの相続権は失われません。
ただし、自身や子どもに対する義実家側の感情が悪化して、相続トラブルのリスクが高まる可能性があることは認識しておきましょう。
4、配偶者が他界したときに弁護士へ相談すべきケース
配偶者が他界した後でも、義実家との間でトラブルが発生するケースはよくあります。
以下では、速やかに弁護士に相談したほうがいい場合について解説します。
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(1)義実家から扶養を求められた場合
配偶者から扶養を受けていた義実家が、配偶者の死亡を機に、ご自身に対して扶養を求めてくる場合があります。
亡くなった配偶者の両親など義実家の親族に対して、ご自身は原則として扶養義務を負いません。
また、義実家の親族に対して扶養義務を負うのは、特別の事情に基づく家庭裁判所の審判がなされた場合に限られます(民法第877条第2項)。
しかし、現在は扶養義務がないとしても、将来的に義両親などが扶養を求めて、家庭裁判所に調停・審判の申立てをされる可能性はあります。
実際に扶養を命ずる審判がなされると経済的に大きな負担となるほか、調停・審判手続きへの対応によって時間的・精神的な負担もかかってしまいます。
このようなリスクを未然に防ぐためには、姻族関係終了届を提出して、義実家との親族関係を終了させることが有力な対策となります。
また、義実家側から理不尽な扶養の要求が続く場合は、弁護士が代理人として法的な観点から反論することもできます。
いずれにしても、扶養に関する義実家とのトラブルを防ぐために、弁護士に相談することをおすすめします。 -
(2)義実家の遺産相続問題が発生した場合
自身には義実家の遺産を相続する権利がなくても、死亡した配偶者との間にできた子どもが遺産相続問題に巻き込まれる場合はあります。
とくに子どもが未成年者の場合は、その親が法定代理人として遺産分割協議に参加する必要が生じます。
子どもの利益を考慮して適正な内容で遺産分割を行うためには、弁護士のサポートが必要不可欠です。
弁護士であれば、依頼者に代わって遺産分割協議に参加して、遺産相続の希望を法的根拠に基づいて伝えることができます。
また、遺産分割協議がまとまらず家庭裁判所における調停・審判に発展した場合にも、弁護士なら準備や対応を全面的に代行することができます。
5、まとめ
姻族関係終了届を提出すると、亡くなった配偶者の義実家との間の姻族関係が終了します。「縁を切った」ことを法律上明確化できるなどのメリットがありますが、相続の際に特別寄与料を請求できなくなるなどのデメリットも認識しておくべきです。
ベリーベスト法律事務所では、親族関係や遺産相続などのトラブルについて、ご相談を承っております。
もし義実家との間で揉めてしまった場合は、まずはベリーベスト法律事務所にご連続ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています