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友人からの借金を踏み倒した時に起こる問題や、返済しない場合のリスクを解説

2023年09月28日
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友人からの借金を踏み倒した時に起こる問題や、返済しない場合のリスクを解説

友人や知人といった親しい間柄でも、お金が絡んだ事情では、大事件に発展することがあります。

令和4年7月には、高松市に住む男が会社の同僚の遺体を山中に遺棄した疑いで逮捕されました。逮捕された男と死亡した同僚は休日になると一緒に釣りや食事に出かける親しい関係でしたが、ふたりの間に借金トラブルが発生したことが、事件の原因であるようです。

仲のよい友人同士の間でも、借金の問題は大きなトラブルへと発展してしまう可能性があります。また、友人からの借金を返済せず踏み倒すようなことをすれば、民事・刑事の両面で責任を厳しく追及されるおそれがあるのです。

本コラムでは、友人からの借金を踏み倒したときに起きる問題や、借金の返済が難しい場合の対応について、ベリーベスト法律事務所 高松オフィスの弁護士が解説します。

1、友人からの借金は踏み倒したらどうなる?

お金に困っている人のなかには、借金の支払いや生活にあてるお金も足りなくなって、身近な人に助けを求める方もおられます。
親しい間柄の友人なら、困っている姿をみてお金を貸してくれることもあるでしょう。

原則として、借りたものは必ず返す必要があります。
しかし、約束の期日になってもお金を用意できずに返済できないといった状況になってしまったら、「このまま返済しないでおこう」といった考えが頭をよぎるかもしれません。

以下では、友人からの借金を返さないとどうなるのか、法的な角度から説明します。

  1. (1)友人相手なら返済を求められないかもしれない

    友人からの借金は、法的にみればひとつの「契約」です。
    正確には「金銭消費貸借」といい、契約書や借用書がない、いわゆる口約束で借りたものだとしても返済の義務が生じます

    しかし、友人にお金を貸した人のなかには「友人としての人間関係を壊したくない」「苦しい事情を知っているので無理を強いたくない」といった理由から、返済を求めない人もいます。
    相手から返済を求められないからといって法律的な返済義務がなくなるわけではありませんが、友人や知人などの個人が相手の場合には、法的に返済が強制されない場合があります。

  2. (2)友人だからといって法的措置を取らないとも限らない

    友人からの借金については、通常は、厳しい取り立ては受けないとしても、折に触れて「きちんとお金を返してほしい」と返済を求められることになるでしょう。

    返済を求められるたびに期日の日延べを繰り返したり、その場しのぎの言い訳を述べたり
    していると、たとえ友人同士で会っても相手が業を煮やしてしまい、裁判などの法的措置を取られてしまうおそれがあります。
    友人との間にお金の貸し借りが存在していることが事実なら、借用書の有無を問わず、裁判所からも「返済しなさい」と命じられる可能性があります

    このことを考慮すると、たとえ相手が友人でも、「借金の踏み倒しができる」と考えることは禁物です。

2、友人からの借金でも「時効」は存在するのか?

友人からの借金を返済できず困っている方のなかには「約束の期日からしばらくたっているのに返済を求めてこないし、すでに『時効』だろう」などと考える人もおられるかもしれません。
以下では、友人など個人からの借金にも「時効」は存在するのかどうかについて解説します。

  1. (1)個人間の借金の消滅時効

    法律的には、お金を借りて返済しなければならない義務は「債務」、貸したお金を返してもらう権利は「債権」といいます。
    友人からの借金であれば、お金を借りた方は「債務者」であり、お金を貸した友人は「債権者」ということになります。

    債権に基づき返済請求を主張できる期限を「消滅時効」といい、個人間の金銭消費貸借にも消滅時効は存在します。
    具体的には、民法第166条1項により、以下の場合には債権が消滅すると定められているのです。

    • 債権者が権利を行使できることを知ったときから5年間行使しなかったとき
    • 債権者が権利を行使できるときから10年間行使しなかったとき


    通常、お金を貸した側が「返してもらえるとは知らなかった」という事態は起きないため、消滅時効は「債権者が権利を行使できることを知ったときから5年間行使しなかったとき」になります。
    ここでいう「権利を行使できるとき」とは、簡単にいえば「返済の期日」です。
    つまり、友人から返済を求められないまま約束した返済期日から5年が過ぎれば、消滅時効を主張できることになります。

    なお、上記のルールが適用されるのは、令和2年4月1日以降にお金を借りた場合のものです
    同年3月31日以前にお金を借りた場合の消滅時効については、改正前の民法が適用されて「権利を行使できるときから10年」となります。
    また、借金が個人的なものではなく、事業主が事業目的で借り入れた場合には、令和2年3月31日以前に借りたものであっても消滅時効は5年です。

  2. (2)時効が進まなくなるケース

    借金の消滅時効は、返済期日が過ぎた時点で、日ごとに進行していきます。
    ただし、以下のようなケースでは、時効がリセットされたりその進行が止まったりする点に注意してください。

    • 時効の「更新」にあたる場合
    • それまで進行していた時効をリセットし、新たに一から時効期間を再スタートすることを「更新」といいます。
      なお、民法改正前までは「中断」と呼ばれていました。

      たとえば、債権者が裁判上の請求を起こして確定判決を得た場合や、支払督促などで確定判決と同一の効力を得た場合には、それまでに過ぎた日数がリセットされます。
      また、債務者がたとえ1円でも借金の一部を返済したり、期日の猶予を申し入れたりして債務の存在を認めると「承認」という扱いになり、この場合にも時効が更新されるのです

    • 時効の「完成猶予」にあたる場合
    • 時効の進行をストップすることを「完成猶予」といいます。
      こちらも民法改正前は「停止」という別の名称が使われていました。

      完成猶予が適用されるもっとも典型的なものが「催告があったとき」です
      催告とは裁判外の請求を意味し、催告があったときは6か月が経過するまで時効が完成しません。
      催告をして時効の完成が猶予している間に再度催告をしても、その再度の催告には時効の完成猶予をさせる効力がないため、通常は、催告の後に裁判上の請求などが行われます。
  3. (3)時効が完成するだけでは返済義務は消えない

    消滅時効が完成する日が訪れても、それだけで自動的に借金の返済義務が消えるわけではありません。
    借金の返済義務がなくなったことを主張する手続きを「時効の援用」といい、債務者が時効を援用しなければ消滅時効の効果は生じないとされています
    友人からの借金である場合には、「すでに消滅時効が完成しているので返済義務はない」という意思表示をもって、返済義務が消えます。

    時効を援用する方法には特段の定めがありません。
    口頭で伝えることも可能ですが、「いつ借りた、いくらの借金について、いつ消滅時効が完成したのか」を明確に記録するため、通知書などの書面によって伝えることが一般的です。

3、借金の踏み倒しは犯罪になる?詐欺罪が成立する条件

借金の返済トラブルでは、お金を貸した側が「借りたお金を返さないなんて詐欺だ」と主張するケースも少なくありません。
詐欺罪は刑法第246条に定められている犯罪であり、10年以下の懲役が予定されている重罪です。

以下では、ほんとうに借金の踏み倒しが詐欺罪になるのかどうかについて、解説します。

  1. (1)詐欺罪が成立するケース

    詐欺罪が成立するのは、次の三点を満たす場合です。

    • 欺罔(ぎもう)行為があること
    • 相手が錯誤に陥っていること
    • 錯誤に陥った相手がみずからお金などの財物を交付すること


    欺罔(ぎもう)行為とは「うそをついて他人をだまそうとする」行為のことをいいます。
    そのうそを信じ込んだ状態が、「錯誤に陥る」です。
    そして、錯誤に陥った相手が犯人に対してみずからお金を差し出したり、犯人の指定した口座に振り込み送金したりするといった「財物の交付」を行ったら、詐欺罪が成立します。

    借金トラブルで詐欺罪が成立するかどうかを判断する際には、「欺罔行為」の有無がもっとも重要です
    たとえば、無職で収入の予定がなく預貯金などの蓄えもないのに「来月には給料が入るから一括で返済する」とうそをついたり、実際にはそんな事実はないのに「いま遺産相続の協議中で話がまとまれば数千万円を相続できる」とうそをついたりして借金を申し込んだ場合には、お金を「借りた」のではなく「だまし取った」と判断されます。
    そもそも「返済する」という約束を守る意思もなくうそをついてお金をだまし取り、期日になったからといって返済する能力もない場合には、詐欺罪が成立する可能性が高いでしょう。

  2. (2)詐欺罪が成立しないケース

    詐欺罪は「欺罔・錯誤・交付」のひとつでも欠いていると成立しません(ただし、欺罔行為はあったものの、相手方が騙されずに財物を交付しなかった場合等は、詐欺未遂罪は成立し得ます)。

    たとえば、はじめはちゃんと返済するつもりで借金をしたものの、予想外に生活が苦しく返済するお金を用意できなかったといったケースでは、「だます」という重要な要件を欠いているので詐欺罪は成立しません。
    この場合には、刑法の詐欺罪ではなく民法上の「債務不履行」にあたります。

    とはいえ、お金を貸した側の立場にたってみれば、約束の期日に返済してくれないと最初からうそをついてお金をだまし取ったのか、それとも事情があって返済できなかっただけなのかを知る術がありません。
    したがって、たとえ「最初は返済するつもりだった」と説明しても、十分な返済能力がないことをわかっていたのに借金をした場合などには詐欺罪が成立してしまうおそれがあることに注意してください

4、友人が相手でも借金の踏み倒しは危険!返済が難しい場合の対応

相手が友人だからといって、借金を踏み倒すのは危険です。
人間関係が悪化してしまうだけでなく、たとえ友人同士の関係であっても、裁判上の請求を受けてしまうおそれがあります。
したがって、借金の返済が難しい場合にも放置せずに、積極的な解決を図る必要があるのです。

  1. (1)不誠実な態度を取ると詐欺の疑いをかけられてしまう危険がある

    借金を踏み倒そうと友人からの連絡を無視したり、居場所をくらませたりするといった不誠実な態度を取っていると、友人が警察に「詐欺罪の容疑で捕まえてほしい」という届け出をするおそれがあります。
    警察はあくまで犯罪の捜査や被疑者の逮捕を行う機関であるため、警察から借金の取り立てを受けることはありませんが、犯罪の疑いがかかれば警察署に呼び出されて取り調べが行われたり、とつぜん逮捕されたりするおそれがあります。

    警察の捜査対象になれば、「返済するつもりだった」と説明するだけでは容疑は晴れません。
    また、被疑者段階では、逮捕されれば、勾留とあわせて最長で23日間にわたる身柄拘束を受けて社会から隔離されてしまううえに、刑事裁判で有罪判決を受ければ懲役刑が科せられます

    お金の問題では済まされない大変な事態になるので、警察沙汰になる前に解決を図るべきでしょう。
    また、もし逮捕されてしまった場合には、速やかに弁護士に連絡してください。

  2. (2)金銭トラブルの解決は弁護士に相談を

    「友人からの借金を返済できず困っている」「返済できないことで友人から詐欺罪の容疑をかけられている」などの状況で困られている方は、弁護士に相談してください。

    弁護士であれば、大きなトラブルに発展するよりも前に事態を解決するための、さまざまな対応を検討することができます
    たとえば、弁護士を代理人として話し合いの席を設ければ、友人が裁判上の請求に踏み切る事態を回避し、無理のない計画での返済を許してもらえるかもしれません。
    また、素早い示談交渉によって、警察への届け出の回避も期待できます。
    また、友人以外の相手からの借金も含めてまとめて解決するための債務整理の手続きについても、アドバイスをしたり手続きを進めたりすることができます。

5、まとめ

たとえ相手が友人でも、借金は返済しなければなりません。
また、返済せずうやむやにしたままでは人間関係が悪くなるほか、裁判上の請求や警察への被害届など、あらゆる法的措置を受けるリスクがあります

不利な状況に陥らないためには、弁護士に相談して、積極的に対応することが大切です。
借金問題についてお困りの方や、詐欺罪の疑いがかけられてしまった方は、事態の解決を目指すため、ベリーベスト法律事務所にご連絡ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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