0120-629-021

平日9:30〜18:00/土日祝除く

メールでのお問い合わせ 24時間・365日受付
メニュー メニュー

労働組合から団体交渉を申し込まれた場合の最適な対応とは

2024年05月21日
  • 労働問題
  • 労働組合
  • 対応
労働組合から団体交渉を申し込まれた場合の最適な対応とは

令和4年度に香川県内の総合労働相談コーナーに寄せられた労働に関する相談は1万406件でした。

労働組合から団体交渉を申し込まれたら、会社側は正当な理由なく拒否することができません。団体交渉が決裂すればストライキや法的手続きなどに発展する可能性もあるため、労働者側の主張にも耳を傾けつつ、円満な妥結を目指すことが大切です。

本コラムでは、労働組合から団体交渉を巻き込まれた会社がとるべき対応について、ベリーベスト法律事務所 高松オフィスの弁護士が解説します。

1、労働組合との団体交渉とは

労働組合は、会社に対して、労働条件や労働環境に関する団体交渉を申し入れることがあります。
団体交渉の申し入れを受けた会社は、正当な理由なく団体交渉を拒否することができません

  1. (1)団体交渉の意義

    団体交渉とは、会社と労働組合の間で行われる、労働条件や労働環境に関する交渉のことを指します。

    労働者(従業員)個人は一般的に、会社と比較して資金力・組織力・知識など大きく劣ります。
    そのため、労働者個人で労働条件や労働環境について会社と交渉しても、なかなか会社に受け入れてもらえないことが多いといえます。
    このような状況に対処するため、日本国憲法では、労働者(勤労者)の団体交渉権を保障しています。
    つまり、労働者には、労働組合を組織して一致団結して会社に対する要求を行う権利が憲法によって保障されています
    また、日本国憲法における団体交渉権は、労働組合法によって具体化されているのです。

    多数の労働者が一致して要求をしてくれば、会社もそれを無視することは難しいでしょう。労働組合による団体交渉は、会社に対して弱い立場にある労働者が団結して、会社との間で対等な交渉ができるようにすることを目的としたものです。

  2. (2)団体交渉の流れ

    会社と労働組合の団体交渉は、以下のような流れで行われます。

    ① 日時・場所・出席者の決定
    団体交渉の日時・場所・出席者などを、会社と労働組合が交渉して事前に決めます。

    ② 団体交渉
    労働条件や労働環境の改善案などについて、会社と労働組合が実際に交渉します。

    ③ 合意の成立
    会社と労働組合が労働条件や労働環境の改善に合意したら、その内容を書面にまとめて締結します。

    ④ 合意不成立の場合|法的手続き
    団体交渉が決裂した場合は、労働委員会の紛争解決手続きや、労働審判・訴訟などを通じて引き続き争います。
  3. (3)正当な理由なく団体交渉を拒否することは違法

    団体交渉権は、労働者に保障された憲法上の権利です。
    そのため、使用者側が一方的に団体交渉を拒否することは認められません。

    労働組合法第7条第2号では、使用者が正当な理由なく、労働組合との団体交渉を拒否することを禁止しています。
    同規定に違反して団体交渉を拒否した場合は「不当労働行為」にあたり、労働委員会による審査や損害賠償請求の対象になり得るという点に注意してください

2、団体交渉が決裂したらどうなる?

以下では、団体交渉が決裂した場合に発生する可能性がある事態について解説します。
いずれの事態も会社にとって大きなコストがかかるため、労働組合側の主張に耳を傾けて、必要に応じて歩み寄りながら合意を目指すことが大切です。

  1. (1)ストライキが行われる

    「ストライキ(同盟罷業)」とは、労働組合が主導して、労働者が一斉に休業することをいいます。

    ストライキに正当性が認められる場合、形式的には犯罪の構成要件を満たす行為であっても刑法上の違法性を否定され刑罰を科されない(労働組合法1条2項「刑事免責」)、会社に損害が生じたとしても、債務不履行責任や不法行為責任が免除される(労働組合法8条「民事免責」)といった法的保護が与えられます

    ストライキに正当性が認められるかどうかは、① 主体、② 目的、③ 態様、④ 手続の4つの観点から判断されます。

    ① 主体
    労働組合法上の労働組合であれば、正当性が認められます。
    組合員の一部が組合の正式な承認を得ずに独自に行う場合には正当性が否定されます。

    ② 目的
    労働条件の維持・向上を目指して行われるものであることが必要です。政治的な目的のために行われるものは正当性が否定されます。

    ③ 態様
    暴力の行使、会社の財産を破壊する等の財産権を侵害する行為は正当性が否定されます。

    ④ 手続
    団体交渉を経ていることが必要となります。もっとも、会社が団体交渉の場につくこと自体を拒否している場合には、団体交渉を経ていなかったとしても正当性は否定されません。


    ストライキが行われると、会社の事業の全部または一部が停止してしまうため、売り上げや利益が大きく削られてしまうことになります。
    そして、正当なストライキによって会社に生じた損害については、会社は労働組合やその組合員に対して賠償を請求することができませんので、ストライキは労働者にとって強力な武器となります。

  2. (2)違法状態を労働基準監督署に申告される

    労働組合が会社の労働基準法違反や労働安全衛生法違反を指摘している場合には、団体交渉が決裂すると、労働基準監督署に対して申告が行われる可能性があります

    労働者側の申告を受けた労働基準監督署は、会社に対して違法状態の有無の調査を行うことがあります。
    違法状態が発見された場合、労働基準監督署は会社に対して行政指導などを行います。
    悪質な労働基準法違反については、刑事罰の対象にもなり得ます。

    労働基準監督署により違法状態を指摘されると、その対応にコストを割く必要が生じるほか、社会的な評判が毀損される事態になりかねません。
    労働組合の違法状態に関する指摘が正しい場合は、労働基準監督署へ申告される前に、速やかに是正の措置を講じることが大切です

  3. (3)法的手続きに発展する

    団体交渉が決裂した場合、労働組合は以下のような法的措置を講じてくる可能性があります。

    ① 労働委員会への審査申立て
    厚生労働省および各都道府県に設置された労働委員会が、会社側の不当労働行為の有無を審査します。

    ② 労働委員会の個別労働紛争のあっせん手続き
    労働委員会の仲介により、団体交渉で問題となった争いの解決を図ります。

    ③ 労働審判
    労働審判官(裁判官)1名と労働審判員2名で構成される労働審判委員会が、団体交渉で問題となった争いについて調停よる解決を図ります。調停が成立しない場合は、審判を行って解決策を示します。
    労働審判の審理が原則3回以内に完結するので、訴訟よりも迅速に解決を得られるメリットがあります。

    ④ 訴訟
    裁判所の公開法廷において、労働者側の請求の当否を争います。証拠に基づく厳密な立証が求められる点や、手続きが長期化しやすい点が大きな特徴です。


    これらの法的手続きへの対応には、会社側としても多くのコストがかかります。
    そのため、できる限り団体交渉の段階で合意し、法的手続きに発展すること自体を回避するのが望ましいといえます

3、労働組合に団体交渉を申し込まれた企業の対応

以下では、労働組合に団体交渉を申し込まれた企業がとるべき対応を解説します。

  1. (1)団体交渉の日程・場所・参加人数などを決める

    団体交渉の日程・場所・参加人数について、フェアな交渉が確保されるように取り決めましょう。

    日程については勤務時間外、場所については社外の施設、参加人数については労使同数とするのが適切といえます。ただし、合理的な根拠のない日時・場所の指定は団交拒否と判断さるおそれがあります。

  2. (2)想定問答をあらかじめ準備する

    団体交渉においては、労働組合側からさまざまな要求が行われます。

    会社としては、労働組合から事前に通告されている内容をふまえて、労働組合側の要求を予測しておくことが大切です。
    予測される要求については応諾するか拒否するかをあらかじめ検討しておき、拒否する場合は合理的な理由付けを準備しておきましょう。

  3. (3)会社としてやってはいけないことを確認する

    労働組合との団体交渉に関して、会社は不当労働行為をしないように注意しなければなりません。

    たとえば、以下の行為は不当労働行為にあたります。

    • 団体交渉の参加者であることや、団体交渉に関して正当な行為をしたことなどを理由に、労働者に対して解雇その他の不利益な取り扱いをすること。
    • 労働組合の団体交渉権を尊重せず、誠意をもって団体交渉に臨まないこと。会社には誠実交渉義務が課せられるため、不誠実な対応に終始する場合、不当労働行為にあたります。
    • 労働組合の運営に対して不当に介入すること


    とくに労働組合との団体交渉が行われている期間は、不当労働行為を疑われるような行為をあらかじめリストアップしたうえで、厳に慎むように役員や管理職へ周知しましょう

4、団体交渉を申し込まれたら弁護士に相談を

会社が労働組合から団体交渉を申し込まれたら、弁護士への相談をおすすめします。

弁護士は、労働組合側の要求の当否を検討したうえで、会社として適切な対応を総合的な観点からご提案いたします。
団体交渉当日にも弁護士が同席して、必要に応じて役員に代わって回答するなどのサポートが可能です。
労働組合による団体交渉の申し入れへの対応にお悩みの企業は、お早めに弁護士へご相談ください

5、まとめ

労働組合から団体交渉の申し入れを受けた場合、会社は正当な理由なく団体交渉を拒否することができません
不当に団体交渉を拒否すると「不当労働行為」にあたり、労働委員会による審査や損害賠償の対象になり得るので注意が必要です。
また、団体交渉が決裂すると、ストライキや法的手続きに発展する可能性があります。
対応のコストを抑えるため、労働組合側の主張にも耳を傾けて、できる限り団体交渉において合意の可能性を模索しましょう。

ベリーベスト法律事務所では、人事・労務に関する企業のご相談を随時受け付けております。
労働組合への対応にお悩みの場合は、まずはベリーベスト法律事務所まで、お気軽にご連絡ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

お気軽にお問い合わせください ご相談の予約はこちら

0120-629-021

平日9:30〜18:00/土日祝除く

メールでのお問い合わせ
24時間・365日受付

お気軽にお問い合わせください ご相談の予約はこちら

高松オフィスの主なご相談エリア

<高松市>
香川県高松市茜町、朝日新町、朝日町、庵治町、飯田町、生島町、井口町、池田町、一宮町、今里町、今新町、植松町、内町、円座町、扇町、太田上町、太田下町、岡本町、男木町、小村町、香川町浅野、香川町大野、香川町川内原、香川町川東上、香川町川東下、香川町寺井、香川町東谷、香川町安原下、鍛冶屋町、春日町、片原町、鹿角町、上天神町、上之町、上林町、上福岡町、紙町、亀井町、亀岡町、亀田町、亀田南町、川島東町、川島本町、川部町、瓦町、観光町、観光通、木太町、北浜町、鬼無町鬼無、鬼無町是竹、鬼無町佐藤、鬼無町佐料、鬼無町藤井、鬼無町山口、楠上町、香西北町、香西西町、香西東町、香西本町、香西南町、香南町池内、香南町岡、香南町西庄、香南町由佐、香南町横井、香南町吉光、国分寺町柏原、国分寺町国分、国分寺町新名、国分寺町新居、国分寺町福家、寿町、紺屋町、郷東町、御坊町、西宝町、幸町、桜町、三条町、サンポート、三名町、紫雲町、塩上町、塩江町上西乙、塩江町上西甲、塩江町安原上、塩江町安原上東、塩江町安原下、塩屋町、下田井町、出作町、昭和町、新北町、神在川窪町、新田町乙、新田町甲、城東町、末広町、菅沢町、瀬戸内町、十川西町、十川東町、高松町、多賀町、多肥上町、多肥下町、田町、玉藻町、田村町、亀水町、大工町、檀紙町、中央町、勅使町、築地町、鶴市町、鶴屋町、寺井町、天神前、通町、常磐町、磨屋町、中新町、中間町、中野町、中山町、成合町、西植田町、西内町、西春日町、錦町、西の丸町、西ハゼ町、西町、西山崎町、旅籠町、花園町、花ノ宮町、浜ノ町、林町、番町、東植田町、東田町、東ハゼ町、東浜町、東山崎町、百間町、兵庫町、福岡町、福田町、藤塚町、伏石町、古新町、古馬場町、仏生山町乙、仏生山町甲、本町、前田西町、前田東町、松島町、松並町、松縄町、松福町、丸亀町、丸の内、三谷町、南新町、峰山町、御厩町、宮脇町、牟礼町大町、牟礼町原、牟礼町牟礼、室新町、室町、女木町、元山町、八坂町、屋島中町、屋島西町、屋島東町、由良町、栗林町、六条町周辺にお住まいの方
<香川県>
香川県綾川町、宇多津町、観音寺市、琴平町、坂出市、さぬき市、小豆島町、善通寺市、多度津町、土庄町、直島町、東かがわ市、丸亀市、まんのう町、三木町、三豊市周辺にお住まいの方
<徳島県>
徳島県徳島市、鳴門市、小松島市、阿南市、吉野川市、阿波市、美馬市、三好市、勝浦町、上勝町、佐那河内村、石井町、神山町、那賀町、牟岐町、美波町、海陽町、松茂町、北島町、藍住町、板野町、上板町、つるぎ町、東みよし町周辺にお住まいの方
<その他>
兵庫県淡路市、洲本市、南あわじ市および高知県東部やその周辺にお住まいの方

ページ
トップへ